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Vol.4 広島のマンション相場、ぶっちゃけどうなん? プロと読み解く「賢い予算」の作り方

しんどう
ライター しんどう 最終更新日:2026.07.02

住む場所の目星はついた。マンションという選択肢にも納得した。けれど、最後に立ちはだかるのは「価格」という名の冷酷な現実です。

ポストに投げ込まれる新築マンションのチラシを眺めては、新築マンションの設備や外観、内装に胸を躍らせつつ、「これ、私の原稿料何枚分よ!?」と思わず天を仰ぐ日々。約10年前の相場をうっすら知っているだけに、今の広島の価格高騰は、素人目には「正直これってバブルっぽくない?」「今買うのは損だったりする??」と疑心暗鬼になってしまいます。

ほんとに買うかもと思いながら見る新築マンションのチラシ、ものすごく楽しいです

夫もマンションのチラシに胸が高鳴る様子を見せながらも、「さすがに上がりすぎじゃない? 待てばもうちょい安くなる時期が来る気もするけど」と慎重な意見。

果たして、広島のマンション価格はこれからどう動くのか。約10年でほぼ1.5倍にまで跳ね上がった数字の裏側には、どんなロジックが隠されているのか。

今回は、そんな私たちの不安を解消すべく、GAパートナーズの辻󠄀本さんを再び突撃。プロの視点から、広島のマンション市場の現状と、共働き世帯が適正な価格で賢く住まいを選ぶための戦略を、包み隠さず聞いてきました!

しんどう

広島生まれ、広島育ちのフリーライター。自動車メーカーに勤務する夫と5歳の息子、猫2匹の3人+α暮らし。約10年前の相場を知っているだけに、今の広島のマンション価格に「高すぎん!?」と本気で怯えつつ、合理的な予算の組み方を模索する30代半ば。住宅購入を「人生最大の取材案件」と捉え、プロから納得のいく答えを引き出そうと奮闘中。

約10年でほぼ1.5倍に。広島のマンション相場の現状

すっかりお馴染みとなった、八丁堀にあるGAパートナーズさんの本社。私は開口一番、辻󠄀本さんに切り出しました。

しんどう: 辻󠄀本さん、単刀直入に聞きます。広島のマンション、高すぎませんか? 10年くらい前なら3,000万円台、4,000万円台で手が届いたエリアで、今では5,000万円台、6,000万円台の物件が目立ってきていると思うんですが、一体何が起きてるんですか?

マンション価格の高騰について共感してくれた辻󠄀本さん

開発事業部1部
課長代理 辻󠄀本 裕哉

●不動産業界歴10年以上
●宅地建物取引士

辻󠄀本さん: しんどうさん、お気持ちはよくわかります(苦笑)。でも、データで見ると事態はもっと深刻です。この10年ほどで、広島の新築マンション相場は体感で約50%、つまり、おおよそ1.5倍にまで跳ね上がっています。

しんどう: おおよそ1.5倍て……!(白目) だいたい10年前なら4,000万円台だった物件が、今では6,000万円台ってことですよね?もう、給料の上がり幅がどうのとかそういう問題じゃないですよね??

辻󠄀本さん:正直そうですよね……。今、広島市中区の平地で新築マンションを買おうと思えば、3LDK(約70平米)で6,500万円から、条件の良い部屋なら7,500万円を超えることも珍しくありません

しんどう: 7,500万円……。首都圏や関西ならともかく、広島でその数字を見るとは思いませんでした。なんでそこまでマンション価格が跳ね上がっているんですか? バブルなら、いつか弾けますよね?

物価が上がって何もかも高くなってますもんね……

辻󠄀本さん: それが、経済学でいう「コストプッシュ」型の上昇だという点が厄介なんです。土地代の競り上がりはもちろんですが、建築資材の世界的な高騰、そして人件費の増大。さらに、以前は土地を買ってから約1〜2年で完成していたマンションが、今はゼネコンの週休二日制導入などで工期が伸び、約3〜4年かかるようになっています。その間の金利や経費も全て価格に乗ってくるんです。

しんどう: 薄々そんな気はしてましたけど、投資目的の土地の購入が値上がりの原因とかじゃないんですね。待てば安くなる要素、一つもなさそうですね……。

辻󠄀本さん: 正直、現時点で価格が下がる可能性は低いのではないかと考えています。しかも広島は平地が少ないので、良い立地は奪い合いです。そんな希望にあった立地の物件も、同様に奪い合いとなります。「あの時買っておけばよかった」と後悔する方を、私たちはこの数年、数多く見てきました。

しんどう: そうはなりたくないです……!(必死感)

「銀行が貸してくれる額」と「私たちが幸せに暮らせる額」

相場の厳しさを知ったところで、次は「予算の考え方」について。堅物会社員の夫は「無理なローンは絶対に組まない」と頑なです。まあ、二人とも私みたいに「まあいいか!」とか言ってたら、わが家の家計はすぐに崩壊してしまうのでありがたいのですが……。

しんどう: 辻󠄀本さん、私たちのような共働き世帯の場合、予算ってどうやって決めるのが正解なんですか? 銀行に相談したら「1億円まで借りられますよ!」なんて景気のいいことを言われて、逆に怖くなったんですけど(ぶるり)。

借りられる額を調子に乗って借りたら、えらい目に遭いそう??

辻󠄀本さん: 銀行は「年収倍率」で計算しますからね。ご主人のように会社員として安定したお給料を得ている方で、かつ、しんどうさんのように奥様も専門職として収入がある場合、上限まで借りれば確かにそのくらいの数字が出ることもあります。でも、大事なのは『借りられる額』ではなく『返せる額』でもなく、『自分たちの希望する生活を維持できる額』です。

しんどう: 『希望する生活を維持できる額』ですか。

辻󠄀本さん: はい。一般的には年収の6〜7倍程度を目安にされる方も多いですが、これもライフスタイルによります。ただ、広島でマンションを買う際に一つ覚えておいてほしいのは、『住宅費を単なる支出ではなく、資産の積み立てと考える』というマインドセットの切り替え(考え方を変える)です。

しんどう: 前回の「家賃は掛け捨て、ローンは運用」というお話ですね。

辻󠄀本さん: そうです。特に資産価値の落ちにくい立地を選ぶなら、月々の支払いのうち、かなりの部分が「将来自分たちに戻ってくる貯金」と同じ意味を持ちます。予算を優先するあまり、利便性や立地条件を妥協してしまうと、いざ売る時に思ったような価格で売れないことがあります。それこそが、気をつけたいリスクの一つなんです。

ガチ試算!「予算シミュレーション」

ここで、辻󠄀本さんにわが家の想定年収(夫:自動車メーカー勤務、私:フリーのライター。世帯年収1,200万円と仮定。ちょっと実際とずれてますが、許してください)に基づいた、ガチのシミュレーションをお願いしました。

しんどう: もし、中区近辺で6,500万円のマンションを検討するとしたら、私たちの生活はどうなりますか?

辻󠄀本さん: やってみましょう。今、広島の一次取得者(初めて家を買う層)の購入価格帯の中心が、まさにこの6,000万〜7,000万円クラスです。

辻󠄀本さんにかかれば返済シミュレーションもお手の物

【シミュレーション条件:物件価格 6,500万円】
パターンA:35年ローン(金利 1.0% ※変動金利を想定)
月々の支払い:約18.3万円
ボーナス払い:なし
パターンB:50年ローン(金利 1.0% ※変動金利を想定)
月々の支払い:約13.8万円
ボーナス払い:なし

しんどう: 50年ローンだと、月々13万円台……! これ、今の賃貸の家賃とほぼ変わらんじゃないですか。

辻󠄀本さん: そうなんです。35年だと月18万円を超え、毎月の負担が大きいと感じるかもしれませんが、50年にすることで「ゆとり」が生まれます。浮いた5万円を新NISAで運用したり、お子さんの教育費に充てたりできる。こうした考え方を選択する共働き世帯も増えています。

しんどう: でも、50年かー……50年ってやっぱり「一生借金」な感じがして、夫は嫌がりそうですね。「さっさと返して楽になりたい」って。

辻󠄀本さん: ご主人と同じようなご意見をお持ちの方もいらっしゃいますが、インフレ局面では『現金を早く返すより、低金利で長く借りる方が得』という側面もあります。将来的に家を売ることになっても、月々の支払いを抑えていた分、手元の現金(キャッシュ)が多く残っていれば、それが次の住み替えの頭金になりますからね。

「固定」か「変動」か。金利上昇局面での賢い選び方

シミュレーションの結果を見て少しホッとしたのも束の間、私の脳裏にニュースでよく聞く不穏なワードが浮かびました。

「マイナス金利解除」「利上げの足音」……。

金利上昇のニュースも、最近では他人事じゃありません

しんどう: 辻󠄀本さん、もう一つ怖いのが金利です。今はシミュレーションで変動金利を想定して「1.0%」という低い数字を見ていますけど、これから日本も金利が上がっていくんですよね? 変動金利で組んで、数年後に支払いが爆上がりする……なんてホラー展開、これから教育費もかかるわが家には耐えられません!

辻󠄀本さん: よくそういう心配をされる方がいらっしゃいますが、実際にはそれが起きないよう、支払いの急激な上昇を抑制するルールがあります。代表的なものは「5年ルール」と「125%ルール」(※1)です。このルールがあれば、金利が上がっても毎月の支払額は5年間据え置かれますし、6年目以降も前回の1.25倍までしか増額されません。

※1 一部の金融機関ではこれらのルールが適用されない場合がございます。詳細については、各金融機関へご確認ください。

しんどう: そうなんですか!金利上昇によって具体的にどう支払額が変わるか分かっていませんでしたが、そういうルールがあるなら少し安心です。

辻󠄀本さん: そうですね。ただし金融機関によっては「5年ルール」と「125%ルール」がない場合もあるので、詳細は各金融機関にご確認いただく必要があります。ここまでは変動金利のお話をしましたが、金利の選択は、単なる「得か損か」のギャンブルではなく、そのご家庭の『リスク許容度』を測るバロメーターなんです。

しんどう: リスク許容度、ですか。

辻󠄀本さん: はい。まず「変動金利」は、現在の低金利が魅力ですが、将来上がるリスクを自分たちで背負うことになります。一方の「固定金利」は、最初から少し高めの金利を払う代わりに、将来の安心を銀行に保証してもらう『保険料込みの金利』だと考えてください。

しんどう: 夫はとにかく「確実性」を好みます。だから「少し高くても固定がいいんじゃないか」と言いそうですが、今の相場だと固定にすると月々の返済額にも差が出てきますよね。

辻󠄀本さん: そうなんです。たとえば6,500万円の借り入れで、変動が1.0%、固定が1.8%だとすると、月々の支払額には50年ローンで約3万円もの差が出ます(1.0%の場合、約13.8万円。1.8%の場合、約16.4万円)。この「月々3万円の差」を、安心料として払うか、あるいは自分たちで運用して金利上昇に備えるか。

しんどう: 辻󠄀本さんなら、わが家のような共働きの家庭にはどちらを勧めますか?

辻󠄀本さん: 私がマンションギャラリーで金利についてご相談をいただいた際には、『変動金利を選んで月々の支払いを安く抑えつつ、もし固定金利を選んだ場合に支払っていたであろう差額分(この場合3万円)を、使わずに貯金や新NISAでの運用に回せるのであれば、変動金利も十分に魅力的な選択肢になりますよ』とご紹介することがあります。

しんどう: なるほど……! 支払額が減った分を贅沢に使ってしまうのではなく、「金利上昇へのバッファ(ゆとり)」として貯蓄か運用に回すわけですね(手元にお金があるとつい使いそうになりますが……)。

辻󠄀本さん: その通りです。特にご主人に安定した収入があり、奥さまも働かれているという、しんどうさんのようなご夫婦は、万が一金利が上がったとしても、繰り上げ返済などで対応できる『地力』があります。本当のリスクは金利が上がることではなく、金利が上がった時に『手元に現金がないこと』なんです。

しんどう: なるほどー。「固定か変動か」の議論も、結局は「自分たちの家計をいかにコントロールするか」という問題になるんですね。よし、明日から貯金しよう(きりっ)。

まとめ:納得できる「価格」を自分で定義する

辻󠄀本さんの「相場と予算講義」を終えて分かったことは、マンションの価格を「過去の相場」と比較して嘆いていても仕方ないということ。「昔はもっと安かったのに」なんて言葉は、何も生みません。

私たち家族は、今の広島で最適な立地と高い省エネ性能(ZEH水準など)を兼ね備えた住まいを手に入れたい。そして安定した生活の中で、これから小学校に入り、ちゃくちゃくと育っていく息子と猫2匹と楽しく暮らしたい。

そのためには、今の相場を受け入れ、自分たちの社会的信用を賢く使って、無理のない毎月のお金のやりくりを組み立てる必要があります。

「家を買う」ことは大きな買い物をすることでもあるけど、「自分たちの人生の主導権を、家賃という不確定な要素から取り戻すこと」とも言えそうです。幸いシミュレーションの結果、わが家なりの現実的な予算の目安が見えてきました。

不安が先に立っている方は、家を選ぶ前にまず返済シミュレーションを頼んでみてもよいかもしれません。しんどうのようにビビりで、いきなり銀行に相談する勇気のない方は、まずはマンションギャラリーで購入に必要な費用や住宅ローンの仕組みについて話を聞いてみるという手もあります。

よし。数字の裏付けは取れた。次は、いよいよお楽しみの間取り決めじゃー!!

決意を新たにした私の胸には、もう価格に対する恐怖はありませんでした。あるのは、新しいわが家への夢と希望だけです。

辻󠄀本さんに、3人+αのわが家にピッタリの間取りの決め方を教えてもらおう!

次回。そこに広がる『理想の日常』に、私の理性が崩壊する!?
(Vol.5 マンションの間取りの選び方編へつづく)

しんどう
ライター しんどう

広島生まれ、広島育ちの主婦ライター。会社員の夫と保育園児の息子、猫2匹の3人+α暮らし。
主婦目線の身近な記事をお届けします。

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