今回は2号に渡って、「睡眠」について、広島国際大学臨床心理学教授の田中秀樹先生に監修頂きお届けします。

vol.242018.07.1

今回は2号に渡って、「睡眠」について、広島国際大学臨床心理学教授の田中秀樹先生に監修頂きお届けします。

(1) はじめに

睡眠中には様々なホルモンが分泌され、私たちの毎日に大きな役割を果たしています。ぐっすり眠る(質の良い睡眠を取る)事で、日中活力的に過ごせるだけでなく、美肌効果、ダイエットなど目に見える嬉しい効果もたくさん実感できるのです。

(2) ぐっすり眠るといいことばかり

ぐっすり眠ると身体が喜ぶ!

① 脳:記憶が定着する

日中取り込んだ情報は睡眠中に整理や取捨選択され、必要な情報を定着させていています。ですので、しっかり覚えたいなら、眠ることが大切なのです。

② 心:心の司令塔を守る

人の感情の司令塔である脳を睡眠時に休める事で、次の日に備えています。睡眠は、前向きな毎日を過ごせるサポートをしてくれています。

③ 腸:翌朝に備える

腸を健康な状態に保つためには、睡眠も必要です。食べ物は消化吸収された後、睡眠時に残りかすが腸の奥へと送られ、翌朝の排便に繋がります(寝るときに空腹である事が重要です)。

④ ホルモン:成長ホルモンが集中的に分泌する

深い睡眠時に成長ホルモンが大量に分泌されます。成長ホルモンというと、成長期に必要なホルモンと誤解されがちですが、大人にも魅力的なホルモンで、アンチエイジング寄与していると注目されています。また朝方になると免疫力を高めるコルチゾールというホルモンが増え、日中の活動の力になります。

⑤ 肌:傷ついた細胞を修復する

成長ホルモンが分泌される事で、肌も恩恵を受けます。細胞分裂や活性酸素で傷付いた皮膚細胞をケアし、たんぱく質を合成し再生してくれる働きがあります。ケアした後、再生する働きが睡眠時に行われているので、ぐっすり眠った翌朝は肌の調子がいいのです。

(3) ぐっすり眠るための3つの条件

① 脳のリラックス

不安や悩みがあると、寝付けないケースも多くあります。脳をリラックスするよう心がけましょう。

② 就寝前の体温の降下

就寝時間の2時間前から、体温を下げるよう意識しましょう。眠たい時に手が温かくなるのは、手から熱を放出しているからです。体温が高いままでは寝付きが悪くなります。

① 環境の整備

室温・湿度・光は質の良い睡眠に重要です。その他、ベッドや枕も重要な環境要因となります。

このように、自ら意識することで質の良い睡眠を整える事が出来ます。
具体的な情報は次号でご紹介させて頂きます。

(4) 睡眠バロメーターを知ろう!

体重を管理するために家に体重計がある方も多くいらっしゃると思います。同じように、睡眠のバロメーターも定期的に確認する事をお勧めしています。睡眠を数値化する事は、自身の身体を知ることに直結します。鏡を見て「何となく顔色が悪いな」と思うよりも明確に知る事が出来るのです。バロメーターは、最近書籍やスマートフォンアプリでも多くみられるようになってきました。睡眠の質を高める事で、あなた自身が生まれ変わると言っても過言ではありません。ぜひ、日々の睡眠の質を見直してみましょう!

田中 秀樹 Hideki Tanaka
Profile
広島国際大学
臨床心理学科 教授 博士(学術)
田中 秀樹  Hideki Tanaka
・睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士養成に従事
・NHK「ガッテン(旧ためしてガッテン)」
「クローズアップ現代」等に出演
・著書に「ぐっすり眠れる3つの習慣」ベスト 新書、他月刊誌などにも多く掲載

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