「和のある暮らし」について、和文化を楽しむ活動「ひろしまきもの遊び」 代表 澤井律子さんにお伺いしました。

vol.132017.06.1

「和のある暮らし」について、和文化を楽しむ活動「ひろしまきもの遊び」 代表 澤井律子さんにお伺いしました。

和室は必要?悩む人は多い

最近では、暮らしのスペースの中に和室を持たないという方も増えてきているのではないでしょうか。理由として、リビングのフローリングゾーンと、和室の畳ゾーンがあると空間が狭く感じる。また、どう活用していいのか分からないなどがあります。今回は、和室を持ち、そのスペースを愉しむ様々な方法をご紹介します。

guide13_img01

和室の性質と特徴

和室とは日本家屋の伝統的なつくりで、畳の敷き詰められた部屋を言います。その場にいる人が快適な時間を過ごせるように細やかな配慮がなされています。その中でも畳は通気性もよく、四季がある日本の風土にも適していると言われています。改めて、和室の良さを考えてみませんか。

和室の愉しみ方

私が和室を存分に活用しはじめたのは、15年前に着物と出会ってから。幼少の頃から暮らしの中には「和室」がありましたが、着物を着るようになって、和文化に意識が向くと、和室だからこそ感じられる心地良さや日本文化の深さを体感しています。とは言え、堅苦しいものではなく、現代に寄り添ったスタイルで和室の愉しみ方をご紹介いたします。

①和の空間に四季を取り入れる

床の間のある和室であれば、そこに四季を演出しましょう。通常であれば季節の生花や掛け軸を飾りますが、リビングと和室の流れを意識し和の中に洋風のテイストを入れてもお洒落です。例えば、季節をデザインした手ぬぐいをタペストリーとして飾ってみましょう。気軽に春夏秋冬を意識できる空間に様変わりです。

②何気なく日常にある物を取り入れる

和テイストのアイテムをひとつ置くだけで和室はぐんと雰囲気を醸し出します。和食器や塗り物など最近では比較的安価で素敵なアイテムが多くあります。和室にひとつお気に入りのアイテムを飾りましょう。家具を置かないのであれば、目線をさげてアイテムを置くと限られた空間を広く見せる事が出来ます。

③和のおもてなしは和室で

お友達を招いてのんびり贅沢な時間を過ごすなら、和室でおもてなしはいかがでしょう。いつもとは違う雰囲気で喜んで頂けます。その時は日本茶でもいいですが、たまには贅沢な気分でお抹茶も。小さなお盆にお抹茶茶碗と茶筅や茶杓、お粉を入れるなつめを飾り付けてお友達の前へ運び入れたら、目の前でお抹茶を点ててさしあげて。盆点前という簡易スタイルですが、お抹茶でのおもてなしが簡単にできます。

④畳素材でリラックス

畳はクッション性がありますので、リラックスの場としても活用できます。アロマを焚いて横になったり、ヨガの時間を楽しんだりできます。

guide13_img02

⑤畳の縁(ふち)にも和ごころを

最近は畳の縁(ふち)にも遊び心が満載です。キャラクターがデザインされたものからカラフルなものまで多種多様。スタンダードな縁(ふち)も落ち着きますが、和柄の縁(ふち)を選ぶのもお薦めです。昔から受け継がれている畳の縁(ふち)には「幸せになりたい」という様々な想いが込められています。幾つか紹介しましょう。
麻はどんな環境でもぐんぐんと育ち、まっすぐ伸びることから「麻の葉(あさのは)模様」には子供の成長を願う想いが込められ、穏やかな海の波を表現し、荒波にもまれることなく過ごせるようにと「青海波(せいがいは)模様」は平穏無事・未来永劫への願いが込められています。他にも、婚礼の願いの「矢絣(やがすり)模様」や魔除け・厄除けの「鱗文様(うろこもんよう)模様」、円満・調和の吉祥文として親しまれている「七宝(しっぽう)模様」など多くあります。丁寧に暮らしに寄り添う事を大切にしてきた日本人ならではの想いは畳の縁(ふち)にも反映されています。

最後に

私にとっての和文化の暮らしとは日常的に季節を感じることができ、身体にも心にも、地球にも!優しい暮らしだと思っています。意識しているのは、背伸びをせずに、古の時代から今に残っている文化を現在に寄り添えるスタイルで向き合っていくことです。
和室の愉しみ方をはじめ、着物を着たり、日常的に風呂敷を使ったり、水引きのアクセサリーを制作するなどを通じて、歴史や背景を知っていくことが、和文化と暮らすことだと思っています。


guide13_img03

collage.fw_r16_c5